お知らせ 調査研究

Vol.4 生野菜は洗わずに食べちゃいけないの?

2023年10月24日

1.目的
商品検査センターの微生物検査では、製造・加工された食品を中心に検査しています。そのため原料の生野菜を検査することは基本的にはありません。
今回は生野菜に付着している菌数を調査することで、生野菜を食べるときの洗浄の必要性を確かめるとともに、家庭でできる洗浄方法でどの程度菌数を減少させることができるか調べてみました。

2.野菜の一般生菌数
サラダなどで生食する機会が多い野菜として、きゅうり、レタス、トマト(トマトのヘタ)を調べてみました。検査した野菜は、コープデリ宅配で届いたものを入手日当日に検査しました。

洗浄前の一般生菌数/g
トマト <1000
トマトのヘタ 3,700,000
きゅうり 2,200,000
レタス 3,300,000

※一般生菌数とはいわゆる雑菌と言われているもので、食品の微生物汚染の程度を示す指標とされます。

野菜の種類によって菌数に違いがあり、トマトは私たちが食べる果実部分よりも、ヘタに多く菌が存在するということが分かりました。
トマトの果実部分はほとんど菌が見られませんでしたが、きゅうりやレタス、トマトのヘタの部分は平均100万/g以上という結果でした。それぞれの野菜の形状や凹凸の有無などの表面の状態による違いがある可能性が考えられます。

3.流水での洗浄後の一般生菌数
次に流水で5秒洗浄したものを調べます。こちらもコープデリ宅配で届いたトマト、きゅうり、レタスを入手日当日に検査をしました。

トマト洗浄.JPG

レタス洗浄.JPG

きゅうり洗浄.JPG

洗浄前と洗浄後の比較

洗浄前の一般生菌数/g洗浄後の一般生菌数/g減少率
トマト <1000 <1000
トマトのヘタ 3,700,000 130,000 96.5%
きゅうり 2,200,000 170,000 92.3%
レタス 3,300,000 80,000 97.6%
洗浄後一般生菌数グラフ.jpg

水での洗浄後の菌数の変化は、いずれも9割程度の減少がみられました。

きゅうり検査結果(HP用).jpg

きゅうり

レタス検査結果(HP用).jpg

レタス

4.野菜の大腸菌群
大腸菌は糞便汚染の指標菌であり、それを含む大腸菌群は土・空気・水など自然界に多く存在し野菜や果物からも検出されます。

洗浄前の大腸菌群数/g洗浄後の大腸菌群数/g減少率
トマト 0 0
トマトのヘタ ∞(数え切れない) 8,500
きゅうり 1,790 830 53.6%
レタス 7,750 10 99.9%

大腸菌群においても水での洗浄による効果がみられました。トマトとレタスは一般生菌数と同様の結果でした。きゅうりは他の野菜に比べ洗浄前の大腸菌群数に個体差があり、洗浄後の菌数の減少にばらつきがありました。
きゅうりにはイボイボがあるので、短時間での洗浄では菌をうまく洗い落とせなかったと考えられます。
大腸菌は洗浄前・後いずれも検出はありませんでした。

5.考察
目に見えて土壌の付着などがなくても、洗浄していない状態では菌が存在しており、洗浄することにより菌数を大幅に減らすことができるということが今回の調査でわかりました。
流水による洗浄をすることで菌数を効果的に減少させることができるため、野菜を喫食するときにはしっかりと洗浄する事を推奨します。
また、洗浄していても全ての菌が落ちるわけではないので、すぐに食べない場合には冷蔵庫で保管し、菌を増やさないように気をつけましょう。