2020年2月14日
【開催報告】
わくわく!食のサイエンス
~「ゲノム編集食品」ってなあに?~
2020年1月28日(火)にコープデリ商品検査センターにおいて
『わくわく!食のサイエンス~「ゲノム編集食品」ってなあに?~』を開催しました。
「ゲノム編集食品」の販売や流通に関する届け出制度が2019年10月から始まりました。
わたしたち消費者にとっては「ゲノム編集食品」は、まだまだ知りたいことがたくさんあります。
今回は厚生労働省 新開発食品保健対策室室長の近藤卓也さんを講師に迎え、ゲノム編集技術の基本や届出の状況をお話いただきました。
◆講師の厚生労働省 新開発食品保健対策室室長 近藤卓也さん
ゲノム編集技術とは、新たな育種技術です。
今回は、まず品種改良について考えることからはじめました。
色々な野菜やくだものなど、品種によって形質が異なるのは、それぞれの持つ遺伝子が違うからです。品種は遺伝子配列がわずかに異なっているから、大きさや味の違い、暑さに強い、病気に強いなど、それぞれの形質が出てきます。
自然の変異や、さまざまな技術を活用した変異を利用して、目的にあった「遺伝資源」を探し、かけあわせて、必要な形質を選抜していき、新品種を作り出しています。
そのような品種改良の育種過程や、いままでの「突然変異育種」と「ゲノム編集育種」の違い、
「遺伝子組み換え育種」と「ゲノム編集育種」の違いを丁寧にお話いただきました。
また、ゲノム編集技術を応用した食品の取り扱いに関わる安全性審査の考えかたや届け出の流れについても説明いただきました。届け出の前に厚生労働省に事前相談をすることができ、専門家や食品安全委員会などの意見を受けた上で内容を確認しながら流通に向けて安全性を確保していきます。
そもそも、法律で有毒・有害なものを販売してはならないと決められているので、法律違反をしないように、開発者も販売者も考えるのですね。
ゲノム編集技術を活用した食品の流通や販売はまだまだこれからになりそうですが、今からしっかりと準備をして、消費者のみなさんの理解も深めていくことが必要です。
後半は、コープデリ連合会の品質保証の種瀬執行役員より、コープデリがこれまで取り組んできた
ゲノム編集食品に関するパブリックコメントや生協内での学習会の状況などを報告しました。
また、参加者のみなさんからの質問を受けての質疑応答も活発に行われました。
(質疑一部抜粋)
「海外のゲノム編集食品は市場でどの程度出回っていますか。」
⇒生産量は多くなく、アメリカ国内での消費のみのようです
「マッスル真鯛はいつごろ市場に出てきそうですか。」
⇒私たち消費者の受け入れ次第かもしれません
「マッスル真鯛を食べたら、自分も筋肉質になってしまいませんか。」
⇒牛肉を食べても、牛にはならないのと同じですよ
などなど、ちょっと気になることも気軽に質問することができました。
参加者の方からは、「品種改良の手法の1つだということがわかった」「遺伝子組み換えとの違いが理解できた」「そんなに心配することではない、これまでの品種改良の流れの1つとして私はとらえました」
「やはり、知識が無いことが一番の問題だと感じました」「なんとなくマイナスイメージを持ってしまっていたので、正しい知識のベースとなりました」などの意見をいただきました。
わからないところから、少しずつ理解が進んでいくことの大切さが感じられる学習会でした。
「ゲノム編集食品」については、これからもコミュニケーションをとりながら理解を深めていくことができればと考えています。
コープデリ商品検査センターでは
これからも日々の食生活に役立つ学習会を開催してまいります。
ご参加お待ちしております!